2015年5月25日月曜日

大理石のシミ抜き スイートルーム編②

いよいよ試験施工開始です。
先ずは一番状態の厳しい箇所を選んで養生をします。
それから水を打って相手(大理石)の出方(様子)を見ます。
おっと!水を弾きます。
何かの加工がしてありそうです。
あちこち出方を見たところ、水を弾く弾く(; ;)

なるほど・・・

だから今までシミが抜けなかったんだと納得しました!

では弾きを無くしましょう(^^)/

・カミソリ刃のケレン掛け
・強アルカリ系リムーバー
・溶剤系リムーバー

・研磨材磨き
・スチーム
・最後の手段で
塩素系リムーバー、

しかし・・・

なにをやっても全く弾きが無くなりません。
これでは染抜き剤が浸透しないのでシミを抜くことができません。
こんな場合も想定していましたので合成ダイヤモンドが散りばめられたパットで磨きます。

①#1000ダメ → ②次#800これもダメ → ③次#500これまたダメ(><)

番手を粗くして更に磨きます。④#300(磨き戻しを考慮して限界)

それから染抜き剤を塗布

サビ抜き剤、漂白剤、弾きにくくドロドロさせて(増粘)、シップ、ラップ、加温
等々
が・・・

弾きは全く変わらず、薬剤は無反応で流れ落ちるありさま・・・。
艶が無くなっているので磨き戻しです。


しばらくすると他社様が下の部屋から上がって来られました。
あれ!シミを抜いて来られたのかな?って思っていたら

「ギブアップ」の声が聞こえました。
下の部屋も同じく厳しい状況です。

確かにギブアップは正しい選択肢の一つなのです。
こういった厳しい状況で無理をすれば深みにハマる場合もあるからです。
ベテラン職人の見切りです。


う~ん、辛いです。
少し休憩をした方が良さそうなので珈琲タイムを取ります。
正直、今のところ「ギブアップ」です。
う!

安らぎの珈琲タイムで追い込むのか!(笑)

しかし深く重い無言の問い掛け

「ギブアップ」すれば・・・

ホテルの皆様の残念なお顔が・・・

う!

よし!もう少しチャレンジをしてみよう!

エナジーチャージ(気合補給)

Thanks! Red Bull


つづく

2015年5月14日木曜日

削ろう会 神戸大会2015 ②

写真は叩鑿(たたきのみ)です。
洗いでは使いませんが、美しい刃物は見るだけで感性が研ぎ澄まされます。
叩鑿(たたきのみ)の使用実例。
イケメンの外人さんが作業を披露されていました。
中国式の鉋です。前方に押しながら削ります。
サンドペーパー付きの電動サンダーやポリッシャーで木を削ると艶が無くなります。
鉋で木を削ると基本的に艶が出ます。
日本の伝統工芸(道具)と技術(人)は本当に素晴らしく誇りに思います。
木はこうしてみると紙に見えませんか?
大会開始! 
1. 先ずは削ります。
2. 厚みを測定して薄く削る技術を追求し競います。
  
私は職業上なのか!?削った後の木肌(艶)ばかり見ています。
目の保養、下記続く↓







女性の鉋掛けは現場で見かけたことがありません。ついつい見入ってしまいます。
女性陣格好良すぎです!
頑張ってください!
替刃式の鉋を使ってみましたが申し分なく使えます。台の滑りが良くて軽い!
刃には
、タングステンやクロムが入っているので長切れします。
切れ味を重視する場合はヤスキ鋼、長切れにはハイス鋼を選択できます。

替刃式鉋の普及の影で、
天然の優れた砥石と地鉄が減少しているんだろうなぁと思いました。
鉋を通して時代の流れと変化を体感し、資源の大切さを改めて実感しました。


つづく

2015年5月9日土曜日

削ろう会 神戸大会2015 ①

クリック→ http://kezuroukai.jp/sp/top_img/youtube_pop15.html
JRとポートライナーを経由して滋賀から神戸までやって参りました!
会場に到着! 
一般の方にも日本の伝統工芸を知っていただきたいので、たくさんの写真を載せますね。
写真の鉋は、木台、金属刃全て手作りです。

金属刃を研ぐ天然石、砥石(といし)です。基本として荒砥・中砥・仕上げと3段階で研ぎます。
人造砥石とは違い採掘する天然資源の為、現代では手に入らない貴重なものもあります。
砥石はあらゆる技術の向上と生活を豊かにし、現代までの発展に貢献してきた影の主役なのです。
玄能(げんのう)も手作りです。
柄(持つところ)の部分は鉈(なた)の削りだしです。
柄は山桜です。


少し変わったな南京鉋(なんきんかんな)は、主に曲線形状のものを削るための鉋です。
両手でしっかり持てる為、お箸みたいな細くて小さな加工にも向いています。
日本の鉋は手前に引いて使いますが、西洋や中国鉋は押しても引いても使えます。



鉋は手仕事、使い手と作り手が手と手を・・・ややこしい話は止めにします(自笑)
刃物工芸 代々千代鶴氏作の鉋はいつ見ても惹かれます。
削ろう会会員の端くれの私ですが、使いこなせればこの鉋とは仕事をしてみたいです。

洗い屋が鉋を掛けるときはいろいろ有りますが、一つには柱の傷を取るときです。

最近では替刃式の研ぎのいらない鉋の性能が良いともお聞きします。

会場で試し掛けができたので後日、ご報告させていただきます。

つづく

2015年5月8日金曜日

木洗い (伊勢神宮の茶室 洗い作業⑥ 最終)

反古紙張り襖(表)の黄ばみ除去
重ね貼りの周囲の糊が緩まなように施工します。
黄ばみが取れて来ました。
和紙張り襖(裏)の黄ばみ除去
黄ばみが取れて来ました。

和紙の黄ばみ除去
黄ばみ除去 → 完全乾燥 → 撥水コーティング加工を施します。

乾くと張り替えたようにキレイになりました。
撥水コーティング加工後は、水が掛かっても驚くほど弾いてなかなか濡れません。

これにて茶室の洗いが全て完了しました。
歴史的建造物の美しい茶室
これからも末永く大切になさってください。

ご用命いただきありがとうございました。
感謝申し上げます。